【戦後81年】身近な人の「あの日の記憶」をたどり、平和を考える

【戦後81年】身近な人の「あの日の記憶」をたどり、平和を考える

2026/8/15
ライター:はいねデザイナー:なぎ
  • #戦争
  • #夏

この時期になると、テレビやニュースで「戦後◯◯年」という言葉をよく耳にする。
学校でも戦争について何度も学んできた。教科書には、何年に何が起きて、どんな被害があったのかが書かれている。


知覧の特攻平和会館には学校の遠足で訪れたことがあるし、広島と長崎の原爆資料館にも足を運んだことがある。

若き特攻隊員たちの遺影が、遺書が、
思わず目を背けてしまいたくなる被爆者のケロイド写真が、
11時2分から針が動かないボロボロの時計が。

そこにある資料たちが、静かに戦争の悲惨さと平和の尊さを私に訴えかけてくる。
だから私は、「戦争は悲惨」「二度と繰り返してはいけない」と強く感じていた。


その一方で、正直どこか“遠い昔に起きてしまった出来事”と捉える自分もいた。平和に暮らすことができている今とは、あまりにも違うから。

でも戦争って意外と近くの出来事だなと、最近思い始めた。
こう考えるようになったのは、祖母から戦争の体験を聞いたことがきっかけである。


戦争当時、祖母はまだ小学校にも上がっていない幼い子どもだった。それでも、空襲から逃げたときのことや怖かったことを、今でも覚えている。

「81年前」と聞くと、とても遠い昔のように感じてしまうが、自分の祖母が実際にその時代を生き抜いてきたと思うと、急に戦争が近くなった気がした。

今回は、私が祖母から聞いた戦争の話をここに書き記してみようと思う。
この記事を読んだあと、みなさんも少しだけ、自分の身近な人が生きてきた時代に思いを馳せてもらえたら嬉しい。




終戦が近づいていた1945年の春、祖母が暮らしていた地域も大きな空襲を受けた。

空襲が来ると、家族と一緒に防空壕へ逃げた。まだ小さかった少女は、病気で足が不自由になった父の手を引きながら必死に逃げた。

「今でも、そのときの手の感覚を覚えているよ。もうそれはそれは…怖かったね。」

他の人より逃げるのに時間がかかり、防空壕に着くころには入り口が閉められそうになっていた。
中から「ダメ、ダメ」と制止されても、父の手を引いて必死に滑り込んだ。

そのときのことを話す祖母は、「あそこで逃げられていなかったら、今は生きていない」と口にする。



そして戦争が奪ったのは、安心して暮らせる毎日だけではない。
食べ物も、生活に必要なものも、とにかく何もかも足りなかったという。

「食べ物がないのは当たり前だったからね。お芋さんとか。芋自体じゃなくて、その蔓をゆがいて食べてたよ。」

戦時中は食料も生活用品も不足し、日常のあらゆる場面で工夫を強いられた。今の私には驚くような話でも、当時の彼女にとっては特別なことではなく、それが当たり前の暮らしだった。



そんな生活の中で、幼い祖母には別の怖さもあった。

「今でも思い出すけど、夜中トイレに行くのが怖かった。真っ暗だし、周りは山だし。」

空襲の的となる街から疎開して、山中での暮らしを強いられていた。
簡易的に作られた小屋の近くには、地面に穴を掘っただけの質素なトイレがあった。夜になると辺りは真っ暗。祖母は、ひとりでそこまで行くのがとても怖かったという。


この話を聞いたとき、少し意外だった。

「戦争の怖い記憶」と言えば、私は真っ先に“空襲”や“死と隣り合わせの毎日”を想像していたからだ。もちろん、それも祖母にとって忘れられない恐怖である。

でも、幼かった祖母の中には、父親を引っ張って必死に逃げた手の感覚も、食べるものがなかった毎日も、真っ暗な山の中をひとりで歩いた夜も、同じように記憶として残っている。



記録には残らないような、ある少女の記憶。

でもそんな日常の記憶まで含めて、それは紛れもない戦争だった。





歴史の教科書の中では数行で終わってしまう出来事にも、その時代を生きた一人ひとりの記憶、そして感情がある。
戦争について知る方法はいろいろあるけれど、まずは身近な人の話を聞いてみることも、その一つなのかもしれない。

食べたいものを食べ、学びたいことを学び、進路に悩み、アルバイトや趣味に勤しみつつ、笑いながら1日を終えられる。私たち若者の当たり前は、決して当たり前ではない。


この記事が、平和について思いを巡らせるきっかけになればと思う。


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