【水産の可能性を広げる⁈】あなたの仕事を教えてください!~(株)メタシステム研究所・代表~/ 小田謙太郎さん

【水産の可能性を広げる⁈】あなたの仕事を教えてください!~(株)メタシステム研究所・代表~/ 小田謙太郎さん

2023/12/6
ライター:ねじめんデザイナー:ねじめん
  • #DX
  • #工学研究
  • #漁業
  • #鹿児島大学

目次

 「水産県・鹿児島」の可能性を広げる技術が、鹿児島大学の卒業生によって生まれていることを知っているだろうか。鹿児島市の㈱メタシステム研究所が開発している「スマート漁業」だ。IoT技術を活用して漁場や養殖場のデータを集め、人の手に頼っている技術の省力化を目指そうという試みだ。10人のエンジニアは全員が鹿児島大学の卒業生。チームを率いる代表の小田謙太郎さん(47)に展望を聞いた。

・水産DX(デジタルトランスフォーメーション)で目指す変革

 『トリトンの矛』―。そう銘打ったアプリサービスでは、漁師がこれまで紙に記してきた操業日誌をデジタルで自動記録している。

 いつ、どこで、どの魚が、どれくらい獲れたか。この情報は、漁師がその都度ノートに記録を残してきた。しかし、その精度は漁師によってまばらであり、正確性に欠けているのが実情だ。そして、操業データは都道府県の水産部が各漁業組合から集約したあと、国や各研究機関へと情報共有される。最終的に国や研究機関は、持続的な水産資源を維持するため漁獲状況を把握し、資源を保護するため漁獲の制限をかける。この一連の流れには、2年もの期間が必要になる。

 漁業者にとって重要な漁獲データを正確かつ迅速に把握できないかー。現状を打開しようと、小田さんが開発したのが「トリトンの矛」だった。集めたデータを蓄積しながら、魚がよくとれる漁場や赤潮の発生場所を予測するAIサービスを展開するのも強み。このサービスを導入することで、漁師は効率的に好漁場を回ることができたり、養殖魚の赤潮対策をより早く講じたりすることができるという。

・漁業データが持つ可能性

 「これからはデータが昔の石炭・石油のような存在になると信じている」。水産庁によると、漁業の従事者数は23万人だった20年前の2002年から11万人減り、減少傾向にある。このうち、58%を占めるのが55歳以上の漁業者。高齢化が進むにつれ、担い手が減少していく現状は否めない。小田さんは「時と場所で変動しやすい好漁場を経験で語る漁業者が例年、減少傾向にある中で、操業データは重要な価値を持つようになっている」と語る。

 そこで危惧されるのが、価値あるデータの流出だ。「操業データによって発生する利益は所有者の漁業者へと適切に還元すべきだ」(小田さん)。その信念のもと、トリトンの矛ではブロックチェーンを元にプラットフォームを作っている。そして、より効率的で持続可能な水産業の創出を目指す。

・開発した技術が使われることで感じる喜び

 Windows95の発売にGAFAが急成長した1990年代。学生だった小田さんは「インターネット技術が花開いた時代だった」と振り返る。

「インターネット技術が世の中を変えていくことを間近に見てきた」世代だからこそ、「自分が開発した技術を使ってもらえること」に魅力を感じるようになったという。

しかし、「システム開発は上手くいくことばかりではなく、試行錯誤の日々」と語る小田さん。実際に長崎で漁船に乗り、現場での使用感を見てきた。そこでは、海上だからこそ出る不具合を見つけることができた。また、ユーザーの漁師と話す中で「必要な情報が精査できた」と振り返る。

今日も「漁業」と「工学」という垣根を越えた対話を続け、ものづくりを探求する。

小田謙太郎(おだ・けんたろう)1976年生まれ。福岡県筑後市出身。九州工業大学情報工学部情報科学専攻修了後、博士後期課程にて単位を取得する。博士(情報工学)。九州工業大学情報創成専攻助手を経て、現在鹿児島大学情報基盤統括センター助教。2021年6月 株式会社メタシステム研究所を起業し代表取締役に就任。

鹿児島で好きな場所は、ヘルシーランドたまてばこ温泉(指宿市)、日当山温泉(霧島市)の家族湯。

<関連記事>

・【密着INFO隊 第21弾】元エンジニア長に聞く!サイトリニューアルの裏側 

・鹿児島の飲食業界を考える~学生起業家、村上将太郎さん~ 

・【学生起業家】休学して、起業をした。鹿大生のこれまでとこれから。 

  • #DX
  • #工学研究
  • #漁業
  • #鹿児島大学
WRITTEN BYライター
ねじめん
ねじめん
DESIGN BYデザイナー
ねじめん
ねじめん
RECOMMENDあなたへのおすすめ

おすすめ記事を読み込んでいます...